夫が犯罪行為で逮捕されたことをきっかけとして離婚した直後、届いたのは、面会交流調停の申立て。勝ち取ったのは、子どもとの幸せな未来|大阪市在住・A子さん
夫が犯罪行為で逮捕されたことから離婚。しかし、その直後に元夫から面会交流調停が申し立てられた。
A子さんが子どもたちと新天地で暮らし始めた矢先のことでした。
始まった調停では会わせることを前提とした話ばかり、どの弁護士に相談しても「会わせなければいけない」という、決まりきった見解ばかりが返ってくる中、苦悩していたA子さん。原則論はわかっているけれど、深く傷ついた彼女にとって、元夫に子どもを会わせることはこの上なく辛く苦しく、納得いかないことでした。
彼女が「それでも会わせないといけないのか」と自問自答しているそんな時、私達は法律相談で出会いました。一通り事情を聴いた後、私が「交渉の余地があるんじゃないか?なんとか策を練ってみようよ」と話すと、せきを切ったように大粒の涙をこぼしはじめたA子さん。常に自分を律し、毅然として振る舞おうと一生懸命だったのかもしれません。しっかりした大人の女性だからこそ、抱え込んだ辛さだったんだろうなと、A子さんをみて思いました。
今回の交渉における一番の目標は、面会交流権を取り下げてもらうこと。
もちろん原則論はあるけれども、まずは調停員と調査官にA子さんが夫の行為によりどのような状況にさらされたか、それがどれだけの苦痛が伴うことであったのか、その事実を伝えることが大切。これが伝わらなければ私が介在する意味がありません。
調査官面談にも、まずは弁護士の私一人で赴きました。なぜならA子さんが現地に行けばきっと、またいつものように気丈振る舞い、頑張ってしまうことで、調査官にはその辛さがきっと伝わらないだろうと思ったからです。
私と彼女が1対1で話す時は涙ながらに辛さを訴えていること、彼女がどれだけの苦労を経て、掴んだ新たな生活であるのか、元夫も知らなかった彼女の苦悩や体験を伝えると共に、面会交流を開始することがいかに今の生活基盤を揺るがすことであるのか、A子さんが伝えたくても伝わらなかった真実を伝えたのです。
なぜなら、調査官も調停員も人間です。単に法律でがんじがらめの主張をするのではなく、きちんと誠意を持って伝えればきっとわかってくれるはずだと。
最初の面会交流依頼から、約1ヶ月後。結果的にA子さんの状況に配慮し、面会を取り下げた元夫。
そして調査官もA子さんに、謝罪の言葉までかけてくれました。A子さんの辛さを最初はわかってあげられず、面会交流を促したことを。その後、新天地での目標や家族の未来について前向きな話をしてくれたA子さん。その明るい表情が忘れられません。
モラハラ夫からの独立。乳飲み子を抱えた女性が手にしたのは資格と自信と、真の自立|大阪市在住・B子さん
モラハラ夫と、まだ生まれて間もない我が子。そして自己肯定感を無くした日々
B子さんの悩みの種は、典型的なモラハラ夫。「お前はバカだから」「なにも出来ないくせに」「誰のおかげで生活できてるんだ」という暴言は日常のこと。別れたくて一人で離婚調停を申し立てたけれども、相手は応じない。これからどうなっていくのか、悩んだ末に外部の無料法律相談へとやってきたのでした。
普段は「依頼は考えていません、相談だけで」という相談者の方には、こちらから積極的に「弁護に付きますよ」という提案は滅多にしない私ですが、乳飲み子を抱え、相談中も辛そうな姿に、どうしても放っておけませんでした。「大丈夫?私つかなくていい?頼む・頼まないは帰ってから考えたらいいけど、あなたの連絡先を聞かないで帰ることはとても心配だよ…」と、声をかけたのです。すると、途端に号泣し始めたB子さん。その溢れた涙を皮切りに、離婚に向け、いや未来に向け、彼女とともにモラハラ夫との戦いが始まったのです。
離婚を切り出されたモラハラ夫は、“セオリー通り”に本人への面会を主張
多くのケースでモラハラ夫は「妻は弁護士から焚き付けられているに違いない!!だから直接会って話す!」となどと騒ぎ立てます。今回もその例は免れませんでしたが、もちろん会わせたりはせず、依頼者のB子さんとの直接面会は拒否。彼女を守り抜きました。
また、B子さんの夫に限らず、モラハラ夫の多くは、妻が離婚を切り出すと怒り狂い、傷つけられたと妻を非難し、「離婚はしないぞ!」と威圧的な態度をとる傾向がみられます。
勘違いをしているんでしょうね、「結婚」を。
結婚も本質的には恋愛と同じ。たとえ一方が離れたくないと願っても、離婚を強く望む相手を結婚という箱の中に一生縛りつけておくことはできないのです(※もちろん事案毎で離婚に至るまでの期間的短長はあるとしても)。
本当に別れたくないなら、別れないために自らの行動を振り返り、改め、引き止めないといけないのに。それどころか怒る、威圧的になるのは、夫が離婚しない!といえば、一生離婚できないものだと勘違いしているからなのです。だから私はB子さんに伝えました、「大丈夫、この件は必ず別れられる」と。
結果的に、調停離婚が成立し、晴れて自由の身になったB子さん
離婚準備中、B子さんとは法的なことだけでなく、いろんな話をしました。「何が得意?」「どんな母親になりたい?」など、将来・未来の話です。彼女との会話は本当に楽しいものでした。モラハラ夫から「お前は頭が悪い」と言われたことが信じられないくらい、とても頭の良い女性だったからです。
私「そもそもなんで結婚したの?」
B子さん「ずるずると結婚してしまったんですよね…」
私「やっぱり、経済的に自立すべきよね。依存心なく自分の人生、選べたらいいよね」
B子さん「そうですよね…頑張ります!」
そんな話の中で彼女の特技を知り「特技を生かして、1〜2年頑張って奮起してみては?きっと人生変わるよ」という私の投げかけから約1年後、B子さんから特技を生かせる資格を取り、就職したとの報告を受けました。本当に嬉しかった。大きな一歩を歩んだんだろうなと、人生の色が変わった瞬間だな、と誇らしく感じました。
モラハラ夫が選ぶ女性には、とても優秀な人が多い傾向にある、という事実。
自尊心も自己肯定感も潰されたモラハラ夫の妻たちは、実はとても優秀な人が多いという事実があります。なぜならモラハラ夫は、自信がないから。だからこそ優秀な女性を優しい言葉で、自分のものに(妻に)するのです。妻にした後は、優秀な妻をマウンティングすることで、自分が優秀であるような錯覚を持ち、まったく意味のない自尊心を保つ。しかも無意識に。これがモラハラ夫の恐ろしさのひとつです。
モラハラ夫は確かに恐怖です。でも絶対に離婚できる。それには依存しないこと、自立すること。そうすればモラハラ夫なんか怖くないのです。B子さんほか、たくさんの自立していった女性たちをみていて、私は確信しています。