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会わせるべきとわかっていても感染が怖い
コロナ禍での面会交流はどうすればいいの?



外出するにはマスクが必須。どこへ行っても手洗いや消毒を強いられ、家に帰ってもまた手洗い。そんな生活が普通になって、かれこれ1年半にもなります。

しかし、新型コロナウイルスの猛威からはまだまだ脱却できそうにありません。
こうしたコロナ禍における、わたしたちの身近な法律問題のうち、かなり顕著に影響を受けていると思われるのが、離婚や別居をした夫婦がかかえる面会交流の問題です。

今回は、長引くコロナ禍のもと、面会交流をどのように実施すべきかについてお話していきます。

面会交流をもう一度おさらい

面会交流とは?

子のいる夫婦が離婚や別居をすると、子は親権を持つ親(以下、同居親といいます)と同居し、親権を持たない親(以下、別居親といいます)は子と離れて暮らすことになります。

面会交流は後者、すなわち子の監護養育をしない別居親が、子と会ったり共に過ごしたりすることを通し、普段は一緒に暮らせない子とコミュニケーションできる貴重な機会といえます。法律的に、民法上に設けられた権利でもあります。

詳しくはコチラ↓

面会交流は原則的に拒否できない

同居親は、別居親から子との面会交流を希望されると、一部の例外を除き、これを拒否することはできません。

また最近の事情として、面会交流の実施に関する細則は、親権とセットにして離婚の際にしっかり決めておくのが賢明です。予期せぬトラブル防止にもつながることから、実務上もそのようなケースが増えています。そのため、気まずくても大切なことは、離婚時に集中して片付けてしまうほうが、かえって効率がいい場合も多いのです。

どうして会わせないといけないの?

先にもふれたとおり、面会交流は親権を持たない別居親の権利であると、民法が予定していると考えられているからです(民法766条)。

しかし、実はもっと重要な根拠があります。それは同条に「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」ともあるとおり、面会交流は親よりも子の利益を最優先すべきものだからです。

たとえ親が離婚や別居に至ったとはいえ、子は両親との交流を通して、双方の親の愛情を確認しながら自らの情緒を発達させ、健やかな育成・成長につながると考えられています。
家庭裁判所が面会交流を積極的に行うべきと勧める理由もこの点にあるのです。

面会交流を拒否できる例外
以前にも取り上げてきましたとおり、子を監護する同居親にとって、面会交流を拒否できるケースは、

・別居親が子の生活に悪影響を及ぼす場合
・別居親が子や同居親に危害を加える場合
・別居親が子や同居親に対し不当に干渉する場合
・別居親に子を連れ去る危険性が予見される場合
・別居親に薬物使用の疑いがある場合

のような場合です。
すなわち、別居親側に違法行為が見受けられるなど、子にとって不利益になるような場合に限られますから、そのような特段の事情が無い以上、一般的に拒否はできないと考えておくほうが賢明です。



コロナ禍での面会交流はどうすべきか?



以上のようなことから考えれば、たとえコロナ禍とはいえ、相手に説得力のある事由を挙げられない限り、面会交流を拒否する理由としては弱いということになります。
例えば、次のような理由での面会交流の拒否は望ましくありません。

・緊急事態宣言が出ている
・感染者が急増している
・公共交通機関を使わざるをえない
・子が感染を危惧している
・ワクチン接種を済ませていない

このような、「ただ感染するのが怖い」というような漠然とした理由だけでは、
面会交流を拒否する言い分としては弱いと言わざるを得ません。

たとえ緊急事態宣言下であっても、感染者数が極めて少なく、学校も再開されているような場合は、マスクの着用やアルコール消毒などの感染対策を徹底し、いわゆる3密を避けての交流は可能でしょう。

ましてや子が積極的に面会を望んでいるようであれば、なおさら認めてあげるべきで、このような場合にはいわゆる不要不急の活動には当たらないと考えていいと思います。

また、コロナ感染防止の見地から会いにくいという事実と、現状(離婚や別居)に至る原因となった当事者間で抱えてきた事情とはまったく別の問題であることを互いに確認し合うことも大切です。

そのうえで、現在は社会が深刻なコロナ禍に見舞われていて、そのことがさらに面会交流に暗い影を落としているという事実を、当事者間で謙虚に認め合うべきでしょう。

それでもコロナ禍での交流を避けたいなら?

まず、相手に現在の感染状況がどのくらいひどいのかを理解してもらうことが肝要です。

単に「ひどいから」ではなく、例えば現在の就学先や幼稚園・保育園の休校・休園状況、子と同居親・別居親の家族の体調や感染可能性(PCR検査で陽性が出ていないか、濃厚接触者に該当していないかなど)をより具体的に、検査結果を提示するなどして相手に理解・納得してもらう必要があります。

また、その場合でも、感染防止のためとはいえ交流を拒否したり、拒否を続けることは好ましくありません。なぜなら「もう二度と会えないかもしれない」などと相手方に誤解を与え、関係悪化につながるばかりか、新たなトラブルに発展するリスクが増えてしまうからです。

どうしても直接の交流を避けたい場合には、後述するような間接交流の方法を協議するなど、双方ができる限りの対応を行うよう真摯に話し合う必要があります。

コロナ禍に決めておきたい面会交流の基準



現在わたしたちが直面している新型コロナウイルスは、これまでに経験することのなかった未曾有の災害と言われていて、残念ながら現時点で面会交流の実施に利用できるような明確な基準はありません。

したがって、当該地域における感染リスクの有無や程度、政府や当該自治体からの外出自粛要請の有無や程度などを検討し、子の年齢や意思、これまでの面会交流の経緯も含めたうえで、お互いが納得できる基準を当事者の話し合いにより決めるほかないのが現状です。

その際には「新型コロナウイルスの完全収束」などというあいまいな基準では、それがいつになるかわからないため、相手の納得は得られないでしょう。

このような場合には、

・面会当日も含め、双方で2週間以上発熱や咳などの風邪の症状がないこと
・学校や幼稚園の再開

緊急事態宣言の解除
2回目のワクチン接種から2週間が経過している

など、明確でより具体的な基準を決めるべきです。
また、実施する際には次のような感染対策の徹底が重要なことは言うまでもありません。

・屋外で実施する
・自宅以外の屋内の施設(ショッピングモール、映画館、飲食店など)を利用しない

・マスクを着用する
・こまめにアルコール消毒を行う
・公共交通機関の利用を避ける
・屋外施設では遊具などに手を触れさせない



面会交流はリモートでもできる

コロナ禍に見舞われて以来、ビジネスを中心とした様々なシーンで「リモート」が見直されました。
オンラインによる連絡や通信ですね。
実は面会交流においても、ZOOMやLINEなどのオンラインアプリを使ったリモートでの実施(間接交流と言います)が行われています。

たとえリモートでも、実施するとしないとでは雲泥の差がありますし、
この動きは法務省でも推奨されているほか、支援する民間団体も登場しています。
また、リモートによる間接交流を提案するだけでも、別居親に一定の安心感を与えることもできます。

ただし、その一方で
「自宅や周辺の風景が映り込むと、住所の特定につながりかねず実施は難しい」
とする同居親の意見や、
「リモートに慣れてしまうと、子が直接交流を避けるようになるのではないか」
と危惧する別居親の意見があることも報告されています。
利用する際にはこれらの点にも注意しておいたほうがよいでしょう。

法務省ページ
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00033.html

民間団体「一般社団法人びじっと・離婚と子ども問題支援センター」
https://www.npo-visit.net/



ご相談ください

面会交流は、子の成長過程においてとくに重要な機会です。ことに、深刻なコロナ禍においては別居親との話し合いや相談が気まずかったり、その時間を作ることすら難しい場合も多々あります。そのような場合には、ぜひ専門家へのご相談をお勧めします。

面会交流の請求を受けてお困りの方、面会交流の進め方について知りたい方、その他、面会交流について詳しく知りたい方は是非当事務所までご相談ください。  ​

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弁護士一津屋香織(ひとつやかおり) 天神法律税務事務所
【地下鉄南森町2番出口から徒歩3分・キッズスペース完備】


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